先日、ウェザーニューズから発表になった「ほたる前線」によると、茨城県では6月10日頃にホタルが飛び始めるという予想でしたが、水戸市内の発生の早い場所では5月20日に羽化直後の姿を初見。昨夜は20匹ほど舞っているのを確認できました。しかし、以前、群舞している様子を撮影した場所では、まだホタルの姿が確認出来ていません。
同じ市内の平野部の水田地帯で、環境に大きな差がなく温度などの差もそれほどないところでも、場所によって発生時期が違ったり、形態の特徴が少しずつ違うことがあります。ホタルに限らず生物は生まれ育った環境の影響を大きく受け、それぞれ育った場所に適合した成長をしているから、このような差が出るわけです。同じゲンジボタルでもDNA鑑定をすると全国で6つのタイプに分かれていて、同じ地域に生息するホタルでも、それぞれの自生地の環境に適合して生きていると考えられています。
ホタルを増やすために自生地から採集した成虫に卵を産ませ、サナギになる寸前まで育てたものを放流するといった活動をしている人たちがいますが、このような人たちは水系が同じであれば、ホタルを人為的に移動しても良いと言っています。ところが、自生しているホタルを観察してみると、同じ川でも200〜300メートル離れただけで発生時期がまったく違うところが何ヶ所もあります。この現象は遺伝的な地域性による違いから起きているか、人工飼育したものを放流したことで生態が乱れてしまったために起きた現象なのではないかと思われています。
そもそもホタルの移動能力を超えた移動を人為的にさせることが間違いで、自然から切り離して人工飼育したものを、育った場所と違うところに放流するのだから適合するわけがないのです。仮に多少はホタルが自生している場所に放流しているとしても、その場所に適合しないホタルを放流していては、自生していたホタルにも生態系にも悪い影響を与えるだけで意味がないのです。
自然の生物は単純な足し算引き算で成り立っているわけではなく、複雑に影響し合って成り立っています。ですから100匹の成虫を採集したから、あとで幼虫を100匹放流するとか、元々100匹いたところが20匹になってしまったから、他所の生息地から80匹採ってきて補充すれば良いというものではないのです。考えてみればとても単純なことなのに、何故このような事に気が付かないのでしょうか?
ホタルの研究者が集まった日本ホタルの会や全国ホタル研究会では、数年前から安易なホタルの放流に警笛を鳴らすガイドラインを発表し啓蒙活動をしています。このブログからも自然から切り離し人工飼育したホタル(養殖ホタル)の自生地への放流、地域性を無視した放流や遺伝子交雑、近親交配などの問題を無視して飼育したものの放流をしないようにお願いします。業者から購入したホタルやカワニナの放流なんてもってのほかです。

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